「鍼灸の施術には、どんな効果があるの?」と思う方もいるのではないでしょうか。鍼灸の施術は、頭痛やめまい、不眠など他にも様々な症状に効果があるといわれています。そこで今回は、鍼灸の施術効果について解説していきます。
鍼灸とは、鍼と灸を使って行う施術のことです。鍼灸による施術は古くから行われており、日本では奈良時代に伝えられました。その後、江戸時代には庶民にも広く知られるようになったといわれています。
鍼と灸をつかった施術は、国家資格を持つはり師ときゅう師が行います。身体にある特定の点を鍼と灸で刺激する施術方法です。
鍼灸による刺激には、生体機能調整作用・血行促進作用・免疫力の活性化作用があり、以下のような症状に効くとされています。
神経系疾患 | 神経痛神経麻痺 痙攣 脳卒中後遺症 自律神経失調症 頭痛 めまい 不眠 神経症 など |
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運動器系疾患 | 関節炎 リウマチ 頚肩腕症候群 五十肩 腱鞘炎 腰痛 むちうち 打撲 など |
循環器系疾患 | 心臓神経症 動脈硬化症 高血圧・低血圧症 動悸 息切れ |
呼吸器系疾患 | 気管支炎 喘息 風邪 |
消化器系疾患 | 胃炎 胃下垂 下痢 便秘 肝機能障害 肝炎 胃十二指腸潰瘍 など |
代謝内分秘系疾患 | バセドウ病 糖尿病 痛風 貧血 など |
生殖・泌尿器系疾患 | 膀胱炎 尿道炎 性機能障害 腎炎 前立腺肥大 など |
婦人科系疾患 | 更年期障害 乳腺炎 生理痛 月経不順 冷え性 不妊 など |
耳鼻咽喉科系疾患 | 中耳炎 耳鳴 難聴 メニエル病 鼻血 鼻炎 ちくのう症 咽喉頭炎 へんとう炎 |
眼科系疾患 | 眼精疲労 結膜炎 疲れ目 かすみ目 ものもらい など |
小児科疾患 | 夜泣き 消化不良 偏食 食欲不振 不眠 小児喘息 アレルギー性湿疹 耳下腺炎 夜尿症 虚弱体質の改善 など |
しかし、どうして上記のように様々な症状で効果が得られるのでしょうか。
そもそも身体の不調は、身体のエネルギー・血液・体内を流れる血液以外の水分(※)のバランスが崩れている状態です。このバランスが良い状態に戻るように、鍼灸の施術で整えると、様々な症状に効果があらわれます。
※体内を流れる血液以外の水分とは、リンパ液やその他の水分のことです。
先程、身体にある特定の点を刺激するといいましたが、この特定の点はツボや経穴(けいけつ)と呼ばれています。ツボは、身体のエネルギーや血液を体内へ運んでいる道の集合体にあたるものです。全身に361ヶ所あり、症状に応じて使い分けます。
経路の集合体であるツボを刺激することで、身体のエネルギーや血液を滞りなく経路に促され、バランスが整えられます。その結果、症状が緩和されたり、弱った機能が回復させることができるのです。
「鍼って、痛くないの?」「お灸って、熱くないの?」など、安全面で不安に思うかもしれません。しかし、鍼灸の施術は安全面に注意を払って行われています。
鍼灸の施術で使われる鍼は、以下のように注射の針とは異なるため、痛みが少なくて済みます。
太さ | 先端の形 | |
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鍼灸の鍼 | 約0.14~0.34㎜ | 皮膚や筋繊維の間をかき分けて入るように、 先端が丸みを帯びている |
注射の針 | 約0.7~0.9㎜ | 皮膚や血管を破るために、 先端がナイフのようにカットされている |
その他にも、使い捨ての鍼を使ったり、滅菌処理を行うなど、安全面に配慮しています。
鍼灸の施術で使用するお灸は、艾(もぐさ)を使っています。艾の原料は、ヨモギの葉の裏にある絨毛で、艾の大きさや硬さによって感じる熱さが異なります。艾の特徴は、火がつきやすく、火力が穏やかという点です。したがって、肌の上に置いても心地よい熱さを感じれる程度で、さほど熱くはないようです。
また、お灸の痕が残らないように、灸点紙という紙を使う場合もあります。
個人差はありますが、鍼灸の効果は施術直後に実感できることが多いです。ただし、症状が慢性化している場合は、徐々に施術効果があらわれてきます。
鍼灸は1回の施術で効果が期待できますが、通院を続けることで症状が再発しないようになります。したがって、鍼灸の施術を受ける場合は、週1回のペースで施術を受けることが大切です。
いかがでしたか。鍼灸の施術を受けると、神経系疾患や運動器系疾患など様々な症状に効果があります。鍼灸の施術で効果があらわれる理由は、身体の不調となっている身体のエネルギー・血液・体内を流れる血液以外の水分のバランスを良い状態に整えてくれるからです。
身体の不調にお悩みの際は、一度、鍼灸の施術を受けてみてはいかがでしょうか。