首に痛みがある場合、ヘルニアの可能性もあります。首にも椎間板というものがあるため、ヘルニアは腰だけに起こる病気ではないのです。
そこで今回は、首のヘルニアの症状や原因、治療などについて解説していきます。
ヘルニアといわれると、腰のイメージが強いかもしれません。しかし、首がヘルニアになることもあります。首のヘルニアは、一般的に「頚椎椎間板ヘルニア」と呼ばれます。
そもそもヘルニアとは、体内にある臓器が本あいあるべき位置から飛び出してしまった状態のことを指します。
首のヘルニアになる原因には、加齢や姿勢の悪さ、激しい運動などで、頚椎に負担がかかることで引き起こります。
頚椎に過度な負担がかかると、頚椎をつなぎ、クッションの役割を果たす椎間板が破れてしまいます。椎間板が破れることで、その中にある髄核と呼ばれるゲル状の組織が飛び出し、神経を圧迫してしまうため、様々な症状を引き起こしてしまいます。
首のヘルニアであらわれる症状は、神経圧迫による神経障害が主で、以下のようの順序で悪化します。
ヘルニアによって、頚椎後方にある椎間関節の動きが低下したり、変形してしまうと、首の後方から背中もしくは、胸の前の方にかけて痛みがあらわれます。例としては、肩こりや首・背中・前胸の痛みなどです。
7つある頚椎の4番目以下の神経根が圧迫されることで、頚部から肩、上肢にかけて痛みがあらわれます。例としては、上肢の痛み、腕のだるさ、手のしびれやむくみ、握力低下、腕の筋肉の萎縮などです。
頚椎の3番目以上の神経根が障害されることで、首の後ろから後頭部、側頭部にかけて痛みがあらわれます。例としては、後頭部の痛み、頭痛、目の奥の痛み、眼精疲労、目の充血、耳鳴り、めまい、ふらつきなどです。
ヘルニアによって、頚部にある脊髄まで圧迫を受けてしまうと、下半身や上半身に症状があらわれます。例としては、足のつっぱり、歩行障害、排尿障害などの症状があらわれます。
様々な症状があらわれる首のヘルニアの治療方法は、「手術」または「保存療法」の2種類あります。基本的には、保存療法で治療を行うことになりますが、麻痺やしびれなどの重い症状があらわれている場合は、手術を行います。
ヘルニアの手術は、経皮的内視鏡を使った手術が行われます。内視鏡を使って前方からヘルニアを摘出したり、後方から神経の圧迫を取り除いたりなど、いくつかの手術方法があり、症状にあったものを選択することになります。
最も一般的な手術方法は、PECDと呼ばれる前方からヘルニアを摘出する手術です。首の前方から直径4㎜の金属製の筒を椎間板に挿入し、その中に内視鏡を入れます。そして、神経を圧迫しているヘルニアだけを取り除いていきます。筒の直径が4㎜ということもあり、手術痕は小さくて済みます。
保存療法とは、手術を行わない治療のことをいい、以下のようなものがあります。
上記のような治療は、ヘルニアの原因を断ち切るというわけではなく、痛みを緩和させることが主な目的です。
いかがでしたか。ヘルニアは腰だけでなく、首にも起こり得る病気です。首のヘルニアの症状は、以下のような順序で進行していきます。
このように、首のヘルニアは全身に症状があらわれるので、注意が必要です。万が一、首のヘルニアになってしまったら、症状に合わせて「手術」または「保存療法」で治療を行うようにしてくださいね。