椎間板ヘルニアって何?診断方法や治療方法を解説!


 
椎間板ヘルニアは、日常生活の姿勢や動作によって発症する病気です。そのため、誰にでも起こり得る可能性があります。しかし、椎間板ヘルニアについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、椎間板ヘルニアの症状や治療方法などについて解説していきます。

椎間板ヘルニアは3種類ある!

椎間板ヘルニアとは、椎間板の中にある髄核が外に飛び出してしまった状態のものをいいます。髄核が外に飛び出してしまうことで、神経が圧迫されるため、痛みやしびれなどの症状があらわれます。

椎間板は背骨の部分に存在し、頚椎と胸椎、腰椎に分けられます。そのため、椎間板ヘルニアは、以下のように3種類あります。

  • 頚椎椎間板ヘルニア
  • 胸椎椎間板ヘルニア
  • 腰椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアとは、首の辺りにある頚椎で起こるヘルニアのことです。頚椎椎間板ヘルニアになる原因は、加齢によるものや姿勢の悪さ、激しい運動、交通事故などが挙げられます。

頚椎椎間板ヘルニアであらわれる症状は、首の痛みや肩こり、軽い手のしびれなどが主です。重度の頚椎椎間板ヘルニアになると、手や腕の感覚がなくなったり、筋力低下などがあらわれます。

胸椎椎間板ヘルニア

胸椎椎間ヘルニアとは、背中の辺りにある胸椎で起こるヘルニアのことです。しかし、胸椎椎間板ヘルニアが発症する可能性は、頚椎椎間板ヘルニアや腰椎椎間板ヘルニアに比べて低いといわれています。

胸椎椎間板ヘルニアであらわれる症状は、背中やわき腹周辺の痛み、下肢のしびれ、筋力低下などが主です。重度の胸椎椎間板ヘルニアになると、膀胱・直腸障害があらわれます。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは、腰の辺りにある腰椎で起こるヘルニアのことです。腰椎椎間板ヘルニアは、腰に負担のかかる生活を送ることが主な原因になります。例えば、重いものを持つ、長時間の車の運転、中腰での作業などです。

腰椎椎間板ヘルニアであらわれる症状は、腰痛や下半身の痛みやしびれ、足が動かしにくくなる運動麻痺、感覚麻痺などです。

椎間板ヘルニアの診断方法は?

椎間板ヘルニアの疑いがある場合は、病院で検査をしてもらいましょう。椎間板ヘルニアであるかという診断は、以下の2つの方法で行われます。

  • MRIによる検査
  • 神経学的検査

MRIによる検査

MRIとは、電磁波を使って身体の中を写し出す画像検査のことです。神経や筋肉などの軟部組織を鮮明に写し出すことができるため、椎間板ヘルニアの検査に適している診断方法になります。

神経学的検査

神経学的検査は、神経の異常を調べるための検査のことで、以下のように様々な種類があります。そのため、症状に応じた神経学的検査が行われます。

  • ジャクソンテスト
  • スパークリングテスト
  • FNSテスト
  • SLRテスト      など

ジャクソンテスト

ジャクソンテストは、頚椎椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫を調べるための検査です。

座ったまま後方から前頭葉に両手を置き、頚椎を下方に圧迫します。頚部から背中、上肢にかけて痛みやしびれがある場合、頚椎椎間板ヘルニアの疑いがあります。

スパークリングテスト

スパークリングテストは、頚椎椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫を調べるための検査です。

座ったまま頭を傾け、両手で後方から頚椎を下方に圧迫します。頚部から上肢にかけて痛みやしびれがある場合は、頚椎椎間板ヘルニアの疑いがあります。

FNSテスト

FNSテストは、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫を調べるための検査です。

うつ伏せに寝た状態で行われ、お尻を手で固定します。そして、膝を90°に曲げ、太ももを持ち上げながら股関節を伸ばしていきます。太ももの前側に痛みを感じた場合、腰椎椎間板ヘルニアの疑いがあります。

SLRテスト

SLRテストは、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫を調べるための検査です。

仰向けに寝た状態で行われ、膝を伸ばしたまま足を徐々に挙げていきます。足の裏側に痛みが生じ、70°以上挙げられない場合、腰椎椎間板ヘルニアの疑いがあります。

椎間板ヘルニアの治療方法について

椎間板ヘルニアは、手術または保存療法の2つの治療方法があります。しかし、基本的には保存療法を行うことが多いです。

手術

手術の場合、直接椎間板を摘出する手術、レーザーを用いて椎間板の圧力を減らす手術があります。

直接椎間板を摘出する場合は、手術の方式によって切開しなければならない大きさが異なります。そのため、長期の入院が必要になる可能性があります。

一方、椎間板の圧力を減らす手術の場合は、手術を実施してもほとんどの人がその日に帰宅できます。しかし、重度の椎間板ヘルニアの場合は、適さないといわれています。

保存療法

保存療法の場合、投薬による治療やブロック注射、コルセットを用いて痛みのある部分を固定するなどの治療が行われます。これらの治療を行うことで、椎間板ヘルニアの痛みが緩和されたり、炎症を抑えることができます。

椎間板ヘルニアの再発を予防するには?

椎間板ヘルニアは、一度完治しても再発することがある病気です。そのため、正しい姿勢や椎間板に負担のかからない動作などを日々心がけ、椎間板ヘルニアの再発を防ぐことが大切です。具体的には、以下のようなことに注意するようにしましょう。

  • 長時間座る・立つことはせず、途中で休憩を挟んだり、休憩を入れること。
  • 足を組む・あぐらをかくなどは、骨盤や背骨が歪み、腰へ負担がかかるため避けること。
  • 勢いをつけて腰を曲げるといった急激な動作は、腰に負担がかかるため避けること。

椎間板ヘルニアについてのまとめ

いかがでしたか。椎間板ヘルニアには、頚椎・腰椎・胸椎の3種類のものがあります。ただし、椎間板ヘルニアの多くは、頚椎や腰椎に起こることが多く、胸椎に起こることは少ないです。

椎間板ヘルニアになってしまった場合、症状にあわせて「手術」または「保存療法」で治療を行います。しかし、一度完治した椎間板ヘルニアでも再発の恐れがあるため、日々の生活における姿勢や動作に注意しましょう。