ヘルニアの治療方法は2種類!予防方法についても解説。

ヘルニアという言葉を聞いたことがあっても、「どんな状態なのか」「どのような原因でおこるのか」「どんな治療を受けるべきなのか」など、詳しく知らない方も多いと思います。

そこで今回は、ヘルニアとは何か、治療や予防法はあるのかなどについて解説していきます。

ヘルニアとは?

そもそもヘルニアとは、体内にある臓器が本来あるべき場所から飛び出してしまった状態のことです。臓器が飛び出してしまうことによって、神経が圧迫され、様々な症状があらわれるといわれています。

ヘルニアの中でも、椎間板ヘルニアは聞き馴染みのある疾患だと思います。椎間板ヘルニアは、椎間板の中にある髄核というゲル状の組織が、外に飛び出した状態です。また、椎間板はクッションの役割を担っており、背骨と背骨の間にあるため、首から腰にかけて存在するものです。したがって、椎間板ヘルニアは、以下の3種類に分類することができます。

  • 頚椎椎間板ヘルニア
  • 胸椎椎間板ヘルニア
  • 腰椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎は首を意味するため、首にある椎間板がヘルニアになった場合に、頚椎椎間板ヘルニアと呼ばれます。頚椎にある椎間板から髄核が飛び出してしまうと、頚髄と呼ばれる神経が圧迫されてしまいます。

頚椎椎間板ヘルニアになってしまうと、頚髄を通して脳から手や肩に向けて信号を送られるため、最初は肩こりや首の痛みなど首や肩に症状があらわれます。その後、腕や手、頭部、顔面、下半身まで、徐々に症状が進行していくといわれています。

胸椎椎間板ヘルニア

胸椎椎間板ヘルニアは、首と腰の間に起こる椎間板ヘルニアのことです。しかし、頚椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間板ヘルニアに比べて、発症する人が少ないといわれています。

胸椎椎間板ヘルニアであらわれる症状は、下肢のしびれや感覚の低下、筋力の低下です。また、腕に症状はあらわれず、下半身のみに症状があらわれるという特徴があります。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは、腰周辺の椎間板に起こるヘルニアのことです。特に、仙骨に近い椎間板がヘルニアになってしまうことが多いといわれています。

腰椎椎間板ヘルニアになってしまうと、腰痛や下半身の痛み、しびれ、足の麻痺、感覚麻痺などの様々な症状があらわれます。

ヘルニアの原因

ヘルニアになってしまう一番の原因は、椎間板に強い圧力がかかったときに、椎間板が押し出されてしまうからです。その他には、加齢に伴い、椎間板の老化が原因で引き起こることもあります。

また、ヘルニアになりやすい人には、いくつかの特徴があります。

ヘルニアになりやすい人の特徴

ヘルニアは、活動性の高い20~40代の男性に多いといわれています。また、外からの衝撃を受け、体に負荷のかかるサッカーやラグビー、バスケットボールなどのスポーツをしている人もヘルニアになりやすいので注意が必要です。

ヘルニアの治療は2種類!

ヘルニアの治療方法は、大きく分けて以下の2種類になります。

  • 手術
  • 保存療法

手術

ヘルニアの手術には、直接椎間板を摘出する手術、レーザーを用いて行う手術などがあります。

直接、椎間板を摘出する場合は、手術のやり方によって切開する規模が異なります。そのため、入院期間が長くなる場合があります。一方、レーザーを用いて行う手術の場合、椎間板の圧力を減らし、ヘルニアを引っ込ませるという手術内容になります。そのため、手術痕が小さく、ほとんどの方が入院をせずに帰宅できるといわれています。

保存療法

保存療法とは、人体を傷つけることなく行える治療のことを指し、以下のように様々な種類があります。

ブロック注射
ブロック注射とは、局所麻酔薬を神経や関節に直接または、その周辺に注入する治療のことです。ブロック注射を行うと、痛みを抑えたり、筋肉の緊張を和らげるといった効果が得られます。また、ブロック注射には、硬膜外ブロックや星状神経節ブロック、椎間板ブロックなど様々な種類があります。

薬物療法
薬物療法は、痛み止めや湿布などの薬による治療のことです。薬を使用することにより、炎症が抑えられたり、神経の働きがよくなるため、ヘルニアの症状を緩和させることができます。

物理療法
物理療法とは、電気や超音波、熱などの物理的エネルギーを使って行う治療のことです。物理療法を行うと、柔軟性を高めたり、筋力を向上させることができるため、ヘルニアによる症状を緩和させることができます。

固定法
固定法とは、ネックカラーやコルセットなどの装具を用いて、体の部位を固定する治療のことです。体の部位を固定することにより、腰や首などにかかる負担を軽減することができます。

ヘルニアの治療に健康保険は使える?

先程ご紹介したように、ヘルニアの治療方法は様々ですが、手術を受けるとなると、費用が高額になる恐れがあります。しかし、レーザーを用いて行う手術でなければ、健康保険を使うことができるため、費用の負担を軽減することが可能です。

ヘルニアを予防するには?

ヘルニアで治療を受けたとしても、再発したり、別の椎間板がヘルニアになることもあります。そのため、生活を送る際には以下のようなことを心がけ、ヘルニアを予防することが大切です。

  • 頚椎や腰に負担がかからないようにする
    (例:中腰での作業を避ける、なるべく重い荷物を持たないようにする、猫背を改善するなど)
  • 負担に耐えられる体づくりを行う
    (例:柔軟性を高める、筋肉を鍛えるなど)

ヘルニアの治療についてのまとめ

いかがでしたか。ヘルニアとは、体内にある臓器が本来あるべき場所から飛び出し、神経を圧迫した状態のことをいいます。ヘルニアの中でも、よく耳にする椎間板ヘルニアは、大きく分けて、以下の3つに分類することができます。

  • 頚椎椎間板ヘルニア
  • 胸椎椎間板ヘルニア
  • 腰椎椎間板ヘルニア

ヘルニアの治療を行う場合、手術と保存療法の2種類の方法を選択することができます。ただし、治療を行っても、ヘルニアが再発することもあります。したがって、「いつもの姿勢が椎間板に負担をかけていないか」「中腰の作業で腰に負担をかけていないか」など、日々の生活を見直し、ヘルニアを予防するように努めましょう。