ある日突然、肩関節に痛みがあらわれたり、腕が挙げられないといった状態に陥ることがあります。このような症状があらわれている40~60代の方は、五十肩の可能性があります。
そこで今回は、五十肩の原因や鍼灸による施術の効果などについて解説していきます。
五十肩は、「肩関節周囲炎」とも呼ばれ、40~60代に起こるといわれています。あらわれる症状としては、肩関節の痛みや可動域制限などで、3つの時期によってあらわれる症状が以下のように異なります。
では、なぜ五十肩になってしまうのでしょうか。
五十肩は、主に加齢が原因だといわれています。加齢によって、肩の関節や筋肉などが硬くなったり、縮んだりするため炎症や痛みを引き起こしてしまうのです。
また、加齢の他にも、生活習慣やストレス、ホルモンバランスの変化など、間接的要因が重なって五十肩を引き起こす可能性もあります。
五十肩は、鍼灸による施術でも痛みを緩和させることができます。鍼灸とは、はり師や灸師がはりと灸を使い、身体に刺激を与える施術のことです。
鍼灸による施術は、五十肩だけでなく、以下のような様々な疾患に効果があります。
鍼灸による施術は、どのような仕組みで、五十肩や上記の様々な疾患が緩和されるのでしょうか。
鍼灸による施術は、東洋医学の考え方を取り入れています。東洋医学では、「気・血・水」のバランスが崩れることで、病気になると考えられています。そのため、鍼灸による施術では、「気・血・水」のバランスを保たれている状態にしていくのです。
このうち「気・血」の通り道の集合体である「ツボ(経穴)」を鍼灸による施術で刺激していきます。ツボを刺激することで、「気・血」が通り道をスムーズに流れるようになり、「気・血・水」の3つのバランスが整えられ、健康な状態になります。
鍼灸で刺激するツボは、全身に361ヶ所もあり、疾患によって刺激するツボを使い分けます。
五十肩に効くツボはいくつかありますが、今回は5つのツボをご紹介したいと思います。
上記のように、五十肩に効果があるツボは肩周辺だけでなく、離れた場所である腕にも存在します。
鍼灸による施術は、一部疾患に限り健康保険を使うことができます。健康保険が適用される一部疾患とは、神経痛・リウマチ・腰痛症・五十肩・頚腕症候群・頚椎捻挫後遺症などです。
したがって、五十肩と診断された場合は健康保険を使うことができ、施術費用の負担を軽減させることができます。
五十肩を緩和させる方法は、鍼灸による施術だけではありません。以下のようなセルフケアを行うことで、五十肩を緩和させることもできます。
慢性化してしまった五十肩の痛みには、肩の筋肉を温めて血行を促すのがよいでしょう。方法としては、「カイロや防寒具などであたためる方法」「入浴をして全身をあたためる方法」の2種類があります。
カイロを貼る場合、肩甲骨の間または両肩にカイロを貼るとよいです。また、入浴時には、38~40℃に設定して10分程度お湯につかるようにしましょう。もしも、肩が湯舟から出るようであれば、お湯で濡らしたタオルを肩にかけるとよいです。
このように、肩の筋肉や全身を温めると、血行が促され、肩の痛みや疲れを取り除くことができます。ただし、肩に痛みがあらわれた直後は、肩を温めてはいけません。この場合は、肩を冷やして炎症を抑え、安静にすることが大切です。
肩と背中のストレッチは、壁があるところであれば、簡単に行うことができます。手順としては、以下の通りです。
このストレッチは、各5回程度繰り返し、気持ちいいと感じるところまで伸ばすようにしてください。
五十肩は、振り子体操によって予防することができます。振り子体操は、肩関節の動きを良くしたり、可動域を広げたりすることができます。
振り子体操には、ペットボトルやダンベルなどの重さが500g~1kg程度、片手で持てるものが必要です。まず、股関節くらいの高さのテーブルに片方の手を置きます。もう片方の手には、ペットボトルやダンベルなどを持ち、前後や左右、円を描くようにゆっくり動かす。
このとき、ペットボトルやダンベルなどは手の力で動かすのではなく、振り子のように肩と腕全体を動かすのがコツです。振り子体操は、1日5~15回程度を目安に行うようにしてください。
いかがでしたか。五十肩は、鍼灸による施術で症状を緩和させることも可能です。また、五十肩の場合、健康保険を使うことができ、施術費用の負担を軽減できます。
もし五十肩にお悩みの場合は、一度鍼灸による施術を受けてみることをおすすめします。