浮腫(むくみ)を詳しく解説!|病気が隠されている場合もある?

デスクワークや立ち仕事を毎日続けていると、足のむくみが気になったりしませんか?
痛みはないものの、体が重く感じたり、不快感を覚えますよね。
この記事では、浮腫のメカニズムや気になる原因を解説し、日ごろから気を付けるべき生活習慣についても説明しています。

浮腫について


浮腫とは、皮下組織に、余分な水分がたまった状態のことを指します。一般的に「むくみ」と言われることが多いです。
浮腫が起こるメカニズムを下記で詳しく解説します。

浮腫のメカニズム

心臓から体の細部まで送り出される血液中には、血漿(けっしょう)という成分が含まれています。血漿は細胞間液という液体になって、動脈を通じて各細胞に酸素や栄養を届けています。その後、二酸化炭素や老廃物を回収し、静脈を通って再び心臓に戻す役割を果たしています。
この時に、静脈が正常に働いていないと、リンパ管に流れる細胞間液の量が増えてしまいます。静脈が詰まったり、リンパ液の流れが滞ったりする状態だと、細胞間液は正常に心臓に戻ることができず、細胞と細胞の間に余分な水分としてたまってしまうのです。
その結果、体のむくみがあらわれます。重力の関係で水分は下に落ちるので、脚にむくみが出る方が多いと言われています。

浮腫の原因


むくみには、生活習慣によるもの病気が隠れている場合があります。それぞれどんな原因があるのか説明していきます。

生活習慣によるもの

生活習慣の影響で起こるむくみは一時的なものが多いです。
横になっているときは、脚の血液も重力の影響を受けずに心臓まで循環できているので、むくみは起こりにくいです。
むくみを引き起こしやすい生活習慣の一例を下記で表にしています。

原因 理由
同じ姿勢が続く 立ち仕事やデスクワークはふくらはぎを動かさないので、脚の血液が心臓に戻りにくくなります。
運動不足 ふくらはぎの筋肉が衰えて、血液を循環させるポンプの役割を十分に果たせなくなってしまいます。
塩分の過剰摂取 塩分は水分を保持する性質があるため、塩分の過剰摂取により、不要な水分を排出できず、体内に水分がたまってしまいます。
過剰な飲酒(水分の過剰摂取) アルコールによって血管内の水分が不足し、血液の濃度が高まります。その濃度を下げるために水分を取り込み、水分を過剰に摂取してしまうことでむくみを起こします。
ダイエット 無理な食事制限でタンパク質などの栄養が偏るとふくらはぎの筋肉が衰えてしまいます。
冷え 血行が悪くなると、毛細血管に届く血液量が少なくなってしまい、冷えとむくみが同時に起こることがあります。
代謝の低下(加齢) 代謝が低下すると発汗による水分の排出がしにくくなり、体内に水分がたまってしまいます。
生理・妊娠 生理前に増える黄体ホルモンや、妊娠中のホルモンの働きによって、体に水分がたまりやすくなります。

病気が隠れている場合

一方で、慢性的なむくみがある場合は、治療が必要な病気が隠されていることもあるので注意が必要です。
病院の受診を検討するためにも、下記に詳細な原因とともに、発症している可能性がある病気をまとめています。

血管内の静水圧の上昇

血管内の水分量が多くなったことで、静水圧(血管内の圧力)が上昇して、むくみを引き起こします。

心不全 心臓が血液をうまく循環できていない。
腎不全 腎臓の働きが悪く、水分を尿として排泄できない。
下肢静脈瘤 下肢の静脈に水分がたまりやすくなる。

浸透圧の低下

浸透圧とは、血管内に水分を保つための力のことです。
血液内の栄養が少なくなると、浸透圧も低下するので、血管内に水分を保てなくなり、血管の外に水分がたまってしまいます。

吸収不良症候群 栄養を取り込みにくくなり、水分の吸収ができない。
ネフローゼ症候群 尿にタンパク質が多く含まれてしまい、血液中のタンパク質が足りなくなる。
肝硬変 肝臓でタンパク質の生産がしにくくなり、タンパク質が不足する。

浮腫の解消方法

一時的なむくみの解消法

  • 寝る際に枕やクッションを置いて、足を高くする。
  • 壁や椅子に足を上げて休む。
  • 毎日歩く習慣をつける。
  • 立ち仕事の際は、2時間程度で休憩をとる。
  • デスクワークの方は、こまめに足首の運動をする。

一時的なむくみの場合は、上記のような手軽にできるものが多いので、積極的に実施してみてください。
また、塩分を摂りすぎてしまったと思った時は、ホウレンソウやサトイモなどカリウムを多く含む野菜を食べましょう。カリウムには塩分の排出を助けてくれる役割があります。

脚のむくみを解消するマッサージ

短時間でできる脚のむくみ解消に繋がるマッサージをご紹介します。

    ①足裏を親指で押す
    片足を両手で包み込むように持ち、親指を使って足裏全体を押します。
    ②足の甲を押す
    足裏と同様に足の甲も親指で全体を押します。
    ③足指を揉む
    足指を一本ずつ指の付け根から爪先に向かって、手指の腹を使って軽く引っ張るようにつまんで揉んでいきます。
    ④ふくらはぎのマッサージ
    足首からふくらはぎを通って膝裏までを一定方向に、手全体を使って擦り上げます。
    ⑤太もものマッサージ
    太ももの内側を、膝から足の付け根に向かって手全体を使って擦り上げます。内側が終わったら外側も同様に行います。
    ※片足の①~⑤が終わったら反対の足も同様に行いましょう。

慢性的なむくみの場合

病気が原因の慢性的なむくみがある場合は、病気の治療を優先しましょう。
また、下記のような症状がある時は、できるだけ早めに受診しましょう。

  • 1日中むくみがある
  • 脚の血管が浮き出てきた
  • 尿の量が少ない、出が悪い
  • むくみが何日も続く
  • 顔やまぶたにもむくみが出る
  • 普段に比べて疲れやすい
  • 急に体重が増えた

浮腫の予防方法


自分で出来るむくみ予防の一例を挙げていきます。

  • 塩分を控える…過剰な塩分摂取を避け、料理も薄味を心がけましょう。
  • 冷たいものを避ける…冷えからむくみに繋がりやすいので、体を冷やさないようにしましょう。
  • 飲酒を避ける…飲酒から余分な水分摂取に繋がりやすいので、飲酒のし過ぎは避けましょう。
  • 適度な運動…筋肉をつけることでむくみにくい体質を目指せます。
  • 湯船につかる…湯船につかることで、体が温まり血行が良くなります。
  • 栄養のある食事を心がける…タンパク質・ビタミンB群を中心にしっかり栄養を補給してむくみにくい体質づくりをしましょう。

まとめ

いかがでしたか?
浮腫(むくみ)には、生活習慣の影響ででるものと、病気の症状としてでるものがあります。
むくみが出るタイミングや期間で判断できることもありますので、一度むくみの様子を確認してみてくださいね。
日頃の運動や食生活で予防もできますので、ぜひ試してみてください。
皆さんが快適に日々の生活を送られることを願っております。